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ライバートラストLIVER AGENCY TRUST GUIDE

ライバー事務所を辞めたい・移籍したい人へ|違約金と退所制限の法律

ライバー事務所を辞めたい・移籍したい人向けに、公取委が2025年12月に動いた退所制限問題、フリーランス新法、違約金の法的な考え方と退所の手順を整理します。

最終検証日
2026-07-04
出典
9件
一次情報
X口コミ2件・公正取引委員会2025年12月9日公表資料・国民生活センター注意喚起
監修
編集部検証(監修者調整中)

この記事は法律の一般的な考え方を整理したものであり、個別の契約についての法的助言ではありません。実際に退所や違約金でお困りのときは、必ず弁護士や消費生活センターにご相談ください。

ライバー事務所を「辞めたい」と感じるのはあなただけではありません

配信を始めたときは前向きだった人でも、続けるうちに事務所との関係に疲れてしまうことがあります。理由はさまざまです。ランクや数字を維持し続けるプレッシャー、期待した収入との差、担当者との相性、そして「本当に辞められるのだろうか」という不安。こうした悩みは、決して珍しいものではありません。

実際に、X(旧Twitter)にはこうした声が投稿されています。

実際の声 — X(旧Twitter)の投稿より(2026年7月確認)

ランクが最底辺から上がれず、1人での配信に病んで事務所を辞めた、という元ライバーの振り返り。ランク維持の負担が退所のきっかけになったことがうかがえます。

大切なのは、辞めたい気持ちを我慢し続けることではなく、退所や移籍を「正しい手順」で進めることです。感情的に音信不通になるのではなく、契約とルールを理解したうえで動けば、余計なトラブルを避けられます。まずは、退所や移籍を難しくしてきた背景から見ていきます。

退所や移籍を難しくしてきた「退所後の制限」問題

ライバー業界では長らく、「辞めた後もしばらく他の事務所に移れない」「一定期間は配信できない」といった契約が問題視されてきました。この論点に、2025年末、公的機関が正式に動きました。

公正取引委員会が2025年12月に4社へ「注意」

公正取引委員会(公取委)は、2025年12月9日に報道発表を行い、ライブ配信プラットフォーム「Pococha」で取引額が上位のライバー事務所4社に対して「注意」を実施したことを公表しました。対象となった4社は、公表資料に法人名まで記載されています。株式会社AEGIS GROUP、株式会社Colors、株式会社321、株式会社WASABIの4社です。

この4社が対象になった事実は、公取委が自ら公表した情報です。X上でも、事務所選びを助言する文脈でこの件に触れる投稿が見られます。

実際の声 — X(旧Twitter)の投稿より(2026年7月確認)

大手事務所4社は公正取引委員会と揉めているので避けた方がよい、辞めた後に数年間ほかの事務所へ所属することを禁じていた事務所もある、という助言の投稿。制限の年数などは投稿者の主張であり、公取委資料の記述と併せて確認する必要があります。

禁止されていた3つの制限

公取委の資料によると、4社はそれぞれ、所属ライバーとのマネジメント契約のなかで、合理的な理由が認められないにもかかわらず、移籍や独立を牽制する目的で、契約が終わった後の一定期間について、次のような制限を設けていたと認定されました。

  • ライブ配信活動を行うことの禁止
  • 他のライバー事務所とマネジメント契約を結ぶことの禁止
  • 自社と同じ種類の事業を営むことの禁止

公取委は、こうした制限が独占禁止法第19条(不公正な取引方法。拘束条件付取引または競争者に対する取引妨害)に触れるおそれがあると判断しました。ライバーが事務所を移りにくくなり、業界の公正な競争に影響を与えるおそれがある、という考え方です。

「注意」は行政処分ではないという正確な理解

ここは誤解されやすい点です。今回の「注意」は、独占禁止法上もっとも軽い措置であり、排除措置命令や課徴金のような行政処分ではありません。「違反が確定した」わけではなく、「違反につながるおそれがある」段階での予防的な働きかけです。「4社が独禁法違反で処分された」と理解するのは正確ではありません。

また、公取委の審査の過程で、4社はいずれも問題とされた規定を今後見直す予定である旨を申し出た、とされています。ただし、この記事の作成時点(2026年7月4日)では、4社の契約改定が「完了した」ことを示す公取委の続報は確認できていません。この点は「見直しの表明があった段階」と捉えておくのが正確です。

事務所選びの詳しい見分け方や各社の状況は、比較データベースや、当事者となった321のレビューでも整理しています。

フリーランス新法があなたを守る場面

退所や契約のトラブルを考えるうえで、もう一つ知っておきたいのがフリーランス新法です。正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」で、2024年11月1日に施行されました。

個人で活動するライバーが、事務所(法人)と業務委託契約を結び、自分は従業員を雇っていない場合、そのライバーはこの法律が守る「特定受託事業者」に当たり得ます。その場合、発注する側である事務所には、主に次のような義務が生じます。

  • 取引条件の明示義務(委託内容・報酬額・支払期日などを書面などで示す)
  • 報酬の支払期日(受領日から原則60日以内)
  • 中途解除・不更新の予告(6か月以上続く継続的な委託を途中で打ち切る場合などは、原則30日前までに予告)

つまり、報酬の条件があいまいなまま活動させられたり、支払いが理由なく先延ばしされたりする状況は、この法律が想定する「あるべき姿」からは外れています。なお、2025年12月の4社への措置は独占禁止法によるもので、フリーランス新法とは別のルートです。両者は別々に、あわせて適用され得ます。契約書に条件がきちんと書かれているかは、退所や移籍を考える前の基本チェックになります。

違約金は「払わなくていい」のか — 法的な考え方

退所を考える人がもっとも不安に感じるのが違約金です。ここは、片方に振り切って理解しないことが大切です。

相場観と請求の実例

弁護士や業界の解説記事によると、中途解約時の違約金は数十万円から数百万円、極端な例では1,000万円以上の請求が言及されることもあります。ノルマ未達に対して数万円程度の設定例や、配信禁止期間中に無断で配信して高額請求されたという例も紹介されています。一方で、妥当とされやすい水準は報酬の1か月から3か月分程度で、それを大きく超える高額設定は不当な条項として争える可能性がある、という整理が複数の記事で示されています。

無効になり得る場合

法外に高額な違約金や、期間や範囲が過大な活動禁止は、公序良俗違反(民法90条)として無効になり得ます。ライバー個人が「消費者」に当たる契約形態では、平均的な損害を超える違約金や一方的に不利な条項は、消費者契約法(9条・10条の枠組み)によって無効となり得ます。さらに、業務委託の形でも事務所が配信の時間や内容を細かく指示しているような場合には、ライバーが労働法上の労働者と評価され、退所の自由が広く認められることもあります。

一方で、事務所側の請求が認められた例もあります

ここが両論併記のうえで欠かせない点です。「違約金はすべて無効」と考えるのは危険です。

退所・移籍を進める5つのステップ

トラブルを避けながら退所や移籍を進めるための、基本的な流れを整理します。

  1. 契約書を読み返す — 最低契約期間、自動更新の有無、違約金、退所後の活動禁止、アカウントの帰属、報酬の精算条件を確認します。
  2. 書面で意思を伝える — 音信不通は避け、退所または契約を更新しない意思を、予告期間を意識して書面やメッセージなど記録に残る形で伝えます。
  3. 証拠を保全する — 契約書、担当者とのやり取り、報酬明細などを保存します。後から条件を確認できるようにしておきます。
  4. 専門家に相談する — 違約金や退所後制限が不安なときは、弁護士や消費生活センターに、契約書を見せて相談します。
  5. 移籍先の契約条件を確認する — 同じ悩みを繰り返さないために、公取委が問題視した退所後制限の条項がないか、費用や還元の条件が明示されるかを、応募前に確かめます。

移籍先を検討するときは、違約金なしを公式に明示しているKIRINZのレビューのように、契約条件の透明性を基準に比較するのがおすすめです。編集部がどのような基準で事務所を選んでいるかは編集ポリシーに記載しています。

困ったときの相談先

一人で抱え込まず、公的な窓口を活用してください。

  • 消費者ホットライン「188(いやや)」 — 各地の消費生活センターにつながる全国共通の番号です。
  • 各地の消費生活センター — 契約トラブルの相談を無料で受け付けています。
  • 法テラス — 経済的な余裕がない場合の法律相談・費用立替の案内があります。
  • 弁護士会・ライバー法務に詳しい法律事務所 — 違約金や契約の有効性について、個別に助言を受けられます。

国民生活センターも、10代から20代を中心に、タレントやモデルなどの契約トラブルが継続的に寄せられていると注意喚起しています。夢や憧れにつけ込む勧誘は、ライブ配信の分野にも構造的に共通します。おかしいと感じたら、契約や支払いを急がず、まず相談することが何よりの防御になります。

編集部が縛りの緩さや違約金の有無を基準に比較した結果は、比較データベースにまとめています。